夜の始まりに甘いケーキを/ホロウ・シカエルボク
難な瞬間が幾度もある、その中で俺は知るのだ、飲み込まれまいとするとき、初めて目を覚ます自分自身の一角を―奥へ奥へと歩を進めるごとに、家屋は潰れそうになり、灯りは少なくなっていく、忘れられた区画、忘却が約束された区域で、俺は俺であり続けながら歩く、継続するとは、様々な変化の中でその核にあるものを見つけ出そうという行為だ、路地裏は簡略化された血管、血小板は全身を巡ったところで俺の形など知ることはないだろう、本当に知るべきことは全貌を表すことはない、朧げに幾つかのパーツが垣間見えるだけだ、だから変化が必要になる、分かるだろ、同じパーツを何度も見つけたところで理解出来るのは一部分に過ぎない―ふと、先の角を
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)