夜の始まりに甘いケーキを/ホロウ・シカエルボク
、アルコールのせいではないのだろう…風は生温い、遠雷が聞こえている、雷を見ると御伽噺を思い出す、ヘソを取られるなんて子供のうちにだって信じたことはなかった、あれはどう見たってあらゆるものを殺すためのシステムじゃないか、確実に―そうさ、そのころから誰かを信じるなんてことはしなかった、情報は選り分けられて初めて意味を持つものだ、路地裏は余計に湿気がまとわりつくけれど、これぐらいなら雨に変わることはない、世界だって憤ることはあるだろう、そしてそれがたとえそれが俺たちのせいであっても、俺たち自身はそれを知ることは決してないだろう、俺にはお前が分からない、お前には俺が分からない、それが当たり前だってことを知
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