メモ/はるな
。でも、少なくともうんざりはしていなかった。夏が暑いことにも、生きていくことにも。記憶はじっとり濡れていて、とても本当ではないみたいに遠い、(昨日みたいに)。
物事は遠近感を欠いて、昨日と去年、2年前と25年前が同じ場所にある。
娘が生まれてからと、わたしが娘くらいだったころ。
明日も5年後も同じように遠く、想像できない。
時間は伸びたり縮んだりするけれど、どちらにしろこぼれおちていく。(そして平らかになる)。
真夏、カーテンのレース模様は濃く濃く映って、日にささくれた窓辺の写真を何枚も撮った。たぶん、15年前のきょう。夏のプール教室、帰りの下着を忘れてしまって、すうすうした気持ちで
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