Terminal Frost/ホロウ・シカエルボク
 
れは当然のことのように思えたからだ…詩を書くときにも楽だしね―もう一度浴室へ行って、洗面器をチェックしてみた、毎日使っているものだ、たとえ本当にそれで血を受けたとしても、痕跡など残っているはずもなかった、こんどはキッチンへ行って、それなりに揃えている食器の中に、覚えていない過去を教えてくれるものがあるかどうか片っ端から調べてみた、銀色のボールがなんだか怪しかった、一見普通のボールなのだが、なにか妙なものがこびりついていて離れてくれない、といったようなイメージを持っていた、そのボールを持ってリビングに戻り、壁の詩の前に置いてみた、確かにその光景をどこかで見たことがあるような気がした、そんなに前の話じ
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