炎天の下には/こたきひろし
 
否されてしまったんだ。整理解雇と言う名目の紙を一枚渡されて、私は失職した。
それは容赦なく階段から突き落とされたのと一緒だった。
その裏側には若い従業員達からの要望が有ったらしい。年寄りに高い給料を払うならその分を削って自分達の給料を上げてくれと言う。

会社は、先の短い人間よりも若い連中を選んだという訳だ。

そこには私に人望がなく作業能力も低いという根本的な原因が有ったんだけどさ。

理由の如何を問わず私の人生計画は一度に崩壊してしまった。
私には住宅ローンが五年残っていたのだ。
中小企業の僅かな退職金ではどうにもならない残債だったよ。

正社員を失業してから五年目。そ
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