死者の戯れ/ただのみきや
恐れを自ずと創り出す
憧れ 神秘 謎が全て虚無に帰すなら
迷信や妄想は死んだ幼なじみ
否 それくらいしか逃げ場はない
死人に口なし
階段を降りて蜘蛛の巣を破り
歩道を歩いて蟻を踏みつぶす
天災にも等しい圧倒的な大きさで
何かがわたしの暮らしを破壊して
わたしを死に至らせたのなら
天災か人災かに何の違いがあろう
生者がなにを口論しようと
最早わたしには関係のないことだ
憑いて離れて
暑さが和らいで
今朝風はこの腕をすり抜ける
窓辺で羽虫の骸がふわり舞う
夏は奥(おく)つ城(き)を秘め
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