死者の戯れ/ただのみきや
秘めた母
空の彼方に鳴るものはなく
どこからか子供らの気配が覗く
素焼きの娘たちは
どのような釉薬で
夏を永遠の過去にしたのだろう
連綿とした生と死の折り重なり
霊を招き 霊を送る
肌をあらわにした男と女
煙のように縺れて
寝屋に溶け込んだ匂い
祖母が割った瓜の汁
魏志倭人伝に「人性酒を好む」とある
倭人も隼人も熊襲も蝦夷もアイヌもみな日本人となり
相変わらず酒を好む
そして相変わらず
夏 水底は女系
巫女の国がゆらり現れる
《2020年8月14日》
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