エメラルドグリーンの流れとねずみ大根と女郎蜘蛛の話/道草次郎
んでいつも逃がすわけ?わかってる、ホントは殺す度胸もないんでしょ?違う?」
ぼくはなんだが無性にさっき妻が普通の大根を買っていたことが腹立たしくなり、なんの脈絡もなくこう言ってしまった。
「なんでねずみ大根だけじゃなくて、大根まで買う?いらなくない?」ここまで言って少し後悔をした。
妻の雰囲気が見るからに変わる。じっと押し黙りそのまま動かなくなってしまった。依然として直線道路が続いていた。
ぼくはバツ悪そうに妻の機嫌をうかがいながら「まあ、大根はべつにいいよ。半分食ったら残りは冷蔵庫に入れときゃいいんだし」と言った。
それを聞いた妻はなんの感情も込めずに、「そう
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