エメラルドグリーンの流れとねずみ大根と女郎蜘蛛の話/道草次郎
 
た。
「覚えてる…アイツか。でもあの時、??アイツのこと救ったよね。変な歌うたいながらアイツをティッシュでやわっと包んで物干し竿のむこうにそのまま捨てた」たしかにぼくはそうした。昔からぼくは生き物を、とりわけ身体の脆い昆虫の類いなどを殺すことは絶対にしなかった。
「そうだよ、まあ、それが俺のやり方だからね」
妻はしばらく納得できなそうにしていたが、突然ハッと何かを思い出したらしく手を打ち合わせた。
「そうだ、思い出した。あの歌、てーのひらにたいようをー♪……『ぼくらはみんな生きている』だ!あれ?タイトル違ったっけ?」
ぼくはフンと鼻をならした
[次のページ]
戻る   Point(3)