エメラルドグリーンの流れとねずみ大根と女郎蜘蛛の話/道草次郎
 
はまだどこか夏の名残りを留めていたように思う。連れだった鴉が二羽、砂利道をスキップして行くのが見えた。ぼくはポケットに手を突っ込んで自動販売機の方に視線を向けた。両手にカップのココアを持った子供が親に向かって何かを騒いでいた。どうやら釣り銭を取ろうと手を伸ばした際に巨大な女郎蜘蛛を見つけたようで、しきりにそのことを伝えようとしているのだった。そんなことには親はろくに取り合おうともせずに、蕎麦屋の暖簾の前で何度もその子へ手招きをしていた。


車にとって返すと素早くシートベルトを締め、Bluetoothの接続がちゃんと保たれていることを確認する。二人にとっての当たり障りのない曲をほぼ無意
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