手探りで/ふるる
ない
光にのまれていた
闇が覆っていた
どちらか
霞んでいる叔父の顔は穏やかに見えた
母の事を姉さんと呼ぶ唯一の人
いつもノートにむつかしい呪文を書き込み
おそらく数式だった
ねだって手の甲に書いてもらった
肘から手首までの長いもの
小指におさまるもの
くすぐったくても我慢した
母に見せると
誰に似たんだか変な子になっちゃって
困ったような声
何も為さずに消えた横顔は真面目
それは消えた足跡
まっすぐで
答えを探る瞳孔
嘘を許さない背中
たまには陽を浴びたらいい
あの山を見ると嫌になる
いま抱えている問題を思い出す
目の色が不思議で
太陽の下では濃く
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)