山国の車窓より 〜中央線沿線/道草次郎
う思った。ああこの人のお母さんはこの人の事がすごく大事なんだ、と。そして、そのあと「わらしべ」のトイレで顔を洗いながら自らを恥じた。その人とその人のお母さんの事をどこか同情的に見ている自分がたまらなく恥ずかしくなったのだ。しばらく誰にも見せられないほど、ぼくの顔は、赤面していたように思う。
{引用=*《安茂里》
安茂里という字を最初に目にした人はたいてい読むことができない。あもり、と言われればああナルホドとなるのだが、それもそう言われればの話。安茂里駅の次はいよいよ長野駅である。山深い景色の中に、突如として現れ出る甲信
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