山国の車窓より 〜中央線沿線/道草次郎
 
甲信越地方有数の地方都市だ。}




ピアハウスには様々な事情を抱えた人たちが顔を見せていた。26歳の時のぼくには、あまり実感のない大人の事情を抱えた人たち。ヨシミさんという40歳くらいに見える女の人がいた。ヨシミさんとぼくが直接話をしたことは数えるほどしかなかったけれど、他の人から彼女の家庭事情や子供のこと、子供の障がいと障がい者年金の不足分のことなどについて聞かされていた。ぼくがちょうどピアハウスは自分の居場所ではないと思いそこから離れようとしていたそんな時期にヨシミさんはふらっと家にやってきた。久しぶりに見たヨシミさんは頭にネットのようなも
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