山国の車窓より 〜中央線沿線/道草次郎
 
、「わらしべ」という障がい者のワーク施設で職業体験をさせてもらうことになった。人生で初めてする仕事。それは缶詰の裏の決まった箇所にシールを淡々と貼っていくというものだった。その施設にはぼくと同い年か少しだけ若い男の人がいて、その人は顔中が隅から隅まで本当にホクロだらけだった。そして、いつもすごく暗い表情をしていた。ぼくが話しかけても、「はい」とか「そうですね」ぐらいしか返事をしない。ある日その人と並んで昼食を食べる機会があった。横を見るとその人の弁当が眼に入ってきた。その弁当には、色とりどりの野菜や唐揚げ、卵焼き、ゆかりを散らしたご飯、さらにはデザートの果物まで添えられていた。ぼくはその時、こう思
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