魔の清算 1(対話編)/アラガイs
横向きになり大きく脚を組み替えるとポケットの中からメモ帳を取り出した。薄笑いをする度に、顔に刻まれた深い皺が答えを導き出していた。
‥‥あのとき、どうして君ら、いや、きみは我慢できたのか、とね。結局その我慢は何も応えてはくれなかったわけだ。 逆にその勇気の無さをきみは一生問われ続けることになってしまった。 以来ずっと逃げるように我慢を強いられる結果になる。 結局は同じことだったんだよ。あのときの辛抱、我慢強さはね。 弱さからくる勇気の無さだったんだ。
この男は一体何を言っているのだろうか。いつの出来事のことを。 怪訝な素振りを見てとったのか男は続けた。
‥‥‥覚えているだろう?少年の頃、高
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