世界中のさよならの鐘をふたりで/ホロウ・シカエルボク
音は小さい
フォルムは夜に紛れてしまう
ただひたすらに根気が
届かない手を伸ばし続けている
もしもし、もしもし
わたしはコネクトせず
返事だけを繰り返す
大きな橋の上で
ずっと
川面を見つめている
挙動のおかしい大柄な男が居た
口の中でずっとなにかをつぶやいていた
それはきっと
聞こえても理解出来ない類の言葉だっただろう
ずっと首を傾げている彼は
呪いをかけられた動物のような
幼さと哀しさを
小鳥のフンのようにそこらにばらまいていた
大きな文具店の
ノートのコーナーのそばの
空の棚が気になって
ずっと
立ちすくんでいたのです
それに気づくことが
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