狂気と才気の狭間/アラガイs
細くて固い冷たい手術台の上で仰向けになる。「さあ、数秒後には深い眠りにつきますからね」。 そう麻酔医から促されると全身麻酔を受ける患者が看護師に言い放った。 ‥このまま眼が覚めなければ幸いなのかな‥‥ !「まあ、なんてこと言うの‥‥」。 熟年の看護師に叱られた。 ‥叱られるのはわかっていたから言うこともできたのだ。これが 「‥ああ、そうですか。じゃあこのまま眠らせておいてあげましょう。‥どうぞここへサインをお願いします」。 なんてことになれば冗談だ、冗談ですよ! などと本気になって抵抗するのでしょう。 間違いなく死ぬ。そんな選択も無い確立の否定を他者に委ねることはできない。 by 多児
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