四から二へ/気質として/ただのみきや
る
人が蠅のようにくぐり抜けて往く
旗はみな一様に靡いている
時の淀みが巻き上げる光の粒子
閉じた瞼の火の雲から釣り針が降りて来る
開かないガラス壜の蓋を必死になって
中は透けて見えているのに
わたしと言葉は互いの墓
羽蟻の群れる夜
河原の石は月の子を孕む
わたしの中から石女が這い上がる
喉から舌へ母音を引きずりながら
長い廊下の奥の暗がりで
砂粒のような原石を数える子供がいる
白く泡立つ夢
ゆっくりと
ナナカマドの若木に雀が一羽
秋になったら簪(かんざし)にしよう
そうしてまた渡せないまま
始まらないから終わらな
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