赤く塗れ/ホロウ・シカエルボク
 
念のため―一般的な成り立ちを何の苦労もなく受け入れて生きていける、器用な人形みたいな人間たちばかりだったし、そして俺はそうした人間たちとも分かり合えるとどこかで考えていた、でもそんなこと出来るはずがなかったんだ、それは俺の中に残っている悪しき風習のひとつだ、どんな人間が相手でもとりあえず言葉をこねくり回せばなんとかなるんじゃないかと考えてしまう―けれどそんなことは無意味なんだ、彼らにはなにが真実かなんてどうでもいいことなんだから…たくさん思考を積み上げて、その上でどんな景色を見たか、なんて話は、彼らにはどうでもいいことなのさ、彼らはただただ自分が正しいことにしておかないことには納得出来ないみたいな
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