ソファで夢みるように三月のわたしは鍵をあけた/かんな
星空になんと美しく輝くのだろう
きらきらして、きらきらしてるから、虫の音に耳を研ぎ澄ます
それはあの日のラジオなのか、早朝五時の電話なのか、祖母の死を知らせる
三月に取り残された母の、力尽きたこころがふわりと生ぬるい風にまいあがり
ペーブメントにいとも容易く叩きつけられた
ーもう、行ったきり、戻らないんだ。
子どもとして生きつづけるための解釈の柱がそびえたつ
いくつもの壁にいくつもの窓、いくつもの嘘、いくらかの希望
たとえばガウディなら
たとえばサクラダ・ファミリアなら、長い歳月の果てに完成の日を見たのだろう
神を信じたのではない、ただわたしを信じた
そしてバベルの
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