子守歌は静寂の雑踏のなかで/ホロウ・シカエルボク
 
違いないのさ、おまえにだって心当たりがあるだろう、あるはずだろう、だって、もしもまともになることが目的なら、とっくにくたばっていなくちゃおかしいはずじゃないか…地に落ちた果物は腐り始める、腐敗という世界の中に溶け入っていく、そして、腐れないものだけがそこには残る、齧られなかった果物に意味はないのか?なんだって?そんなことどうしておまえに決められると言うんだ?おまえは、地に落ちた果物のなにを知っているというのかね―知っているというのは簡単なことだ、おそらく知らないというよりはね…けれど、そんなことにはなんの意味もない、船が動くものだと知っていても、どこをどうすれば動き始めるのか、どんなふうに操作すれ
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