子守歌は静寂の雑踏のなかで/ホロウ・シカエルボク
 
信じ込んでいるきちがいと、自分は狂っているのだと理解しているきちがいだ、どちらがよりまともかっていう話じゃない、どちらにせよそれはきちがいなのだからね…そしてそれは時により、あっちからこっちへ、こっちからあっちへと移動する、そんなに数は多くないけれどもね―近頃はより少なくなっているみたいだよ―だから、なんなのか?狂っているから生きるのだろうか?なんのために?まともになるためにか?―違うね、最初はそんなふうに思うのもしかたがない、でもそれはまるで間違いなんだ、ではどうしてだ?簡単なことさ…どうして狂っているのだろうかと、そしてこれからどれだけ狂ってしまうのかと、そんなことが知りたくて生き続けるに違い
[次のページ]
戻る   Point(2)