子守歌は静寂の雑踏のなかで/ホロウ・シカエルボク
うに見えるものにとらわれてはならない、むしろ、ないのだと思うことのほうがずっと得るものは多い、理解出来るだろうか?茸を取るためだけに山に入れば、その他のあらゆるものを見落としてしまうだろう、たとえるならそんなことさ―夜には、とくに真夜中には、内に潜む声というものが殊更によく聞こえる、なんのためにその言葉がそこで蠢いているのか、感覚的に理解することが出来る…それがどんな内容であれ、聞かないよりは聞いておいたほうが絶対にいい、そのことでなにを背負う羽目になっても、必ず先へ進むための意志となるはずだ、それを拒絶しなければならない理由がどこにある?人間などどうせきちがいしか居ないのだ、自分をまともだと信じ
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