思えば、出口なんてイデーをはっきりそれと認識したのは/ホロウ・シカエルボク
 
生まれた―何故、エレベーターじゃ駄目なんだ?わざわざこちらに案内されたということは、そういうことじゃないのか…?考えてはみたけれどまるで判らなかった、ならば、開けてみるべきだ、四階は巨大なバスタブになっていて、そこに並々と血が注がれていた、俺は息を呑んだ、五階の死体よりもそれは大きな恐怖を語っていた、人間の血だろうか、もしかしたらそれを模した悪趣味な水じゃないかという考えが浮かんだが、明らかに人間の血だった、その中で何人かの男が溺れていたからだ、血のなかで泳ぐのは容易なことではないだろうな、と思った時、ひとりの中年の男と目が合った、男はこちらにバシャバシャと泳いでいて、まずエレベーターを指差し、そ
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