思えば、出口なんてイデーをはっきりそれと認識したのは/ホロウ・シカエルボク
、外を見ることは出来ないということか、と俺は納得した、でも、その空間の見物はそれではなかった…「縦」を排除したジャングルジムのような、数メートルの鉄の棒が段違いに五本ほど天井近くに渡されており、そのすべてにびっしりと首吊り死体がぶら下がっていた、不思議なことに、全員が女だった、年齢は様々だったが、老婆は居なかった、目も眩むような光の中に飾るにはまったく不釣り合いなオブジェだった、本物なのだろうか、と一瞬疑ったが、どうやらそうらしかった、一番近くで吊っていた女子高生が不意に顔を上げてにっこりと笑いかけた、そして、俺の出て来たエレベーターの反対側にある階段を指差した、階段があったのか、と俺はつい口に出
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