六月酔歌/ただのみきや
れない
*
神と聖書はわたしに真理と愛を教えてくれた
だがわたしはわたし自身から絶望を学んだ
いま母なる混沌はわたしに様々な美を指し示す
相殺する負を帯びた二重写しの実は空(くう)を孕み
歌声と叫喚の双子は抱擁する互いを掻き消しながら
わたしは食べきれない食物を楽しむ者
なにひとつ食べられず満たされないまま
*
梢でも庭先でも花々が咲き競う
艶やかな色彩とやわらかな造形の妙
その芳香に鳥や虫たちも酔いしれる
各国代表の美女たちがナンバーワンを競う
そんなコンテストを見たことがあるが
近所の庭先ですらそれに勝っている
衣装も化
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