愚かさの取り分/ホロウ・シカエルボク
 
れればいいのに、こんな夜に流れる音楽は
そうすればすべては舞台の上の出来事みたいに思えるだろう、少なくともいまよりは
ささやかな週末の夜にだって叶わないことのひとつやふたつはあるものさ
問題なのはもうそれにイラつくことすらなくなった自分自身の腹かもしれない
死んだ魚が川を流れるような毎日がいつか幸せにつながるかもしれないと
売り上げの為に慰めてくれる歌たちは言ってるけど、笑わせるんじゃないよ
誰かの戯言を鵜呑みにして生きる理由にするようじゃ始める前から終わってる
気づかぬうちにグラスの底をテーブルでカタカタと鳴らしていた、結構やかましく
隣に座っていた汚い肌の中年の男が俺を見ながら
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