恋昇り10「雨の夜」/トビラ
い。
山藍さんは黙る。
私も黙る。
黙って考えをめぐらせる。
三理を回ったところで、夕方になる。
連座君と連絡をとって、今日はここで切りあげることにする。
「奇妙だな。一理と三理は気にかかるところが不自然に無くて、二理は自然な雑多さがある」
私と山藍さんは頷く。
「連座君、違和感があるかないかだけ分かればいい?。その判断だけなら、明日一日で、九理まで回りきれると思う」
「それで大丈夫。任せたよ」
「任された」
私と山藍さんは笑って言う。
午前六時。
空は厚い雲。
曇り。
雨の気配もある。
「さて、今日も行ってきますか」
山藍さんは振り返って言う
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