恋昇り10「雨の夜」/トビラ
 
てないと思う。だから、あてにしてはいられない。一ノ世の居場所がわかっただけでも、前進だ。今は、俺たちだけで出来ることを探そう」
みんな頷く。

「もう一つ、気になったことがあるんだ」
私の言葉にみんなが耳をすませる。
「私が『買い出し』に行ったとき、奇妙なほど気になるところがないって、話ししたよね」
みんな頷く。
「私が回ったのは、九理の華区の一理だけだった。
これって、一理だけのことかな?」
「他の、例えば、五理とか八理もおんなじように、なんだろ、不自然に違和感がないかもしれない?ということ?」
山藍さんの質問に私は頷く。
「足を使って調べるか……」
菜良雲君の言葉に私は
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