恋昇り10「雨の夜」/トビラ
 
落の要塞だと思っていい。はっきり言って、そこに忍びこむのに向く人がいない。正面突破はまず無理だな。考えない方がいい」
「打つ手なし、か?」
菜良雲君が訊く。
「現有戦力での一ノ世の救出は不可能だ」
私は、連座君のその言葉に落ち込んてしまう。
「打つ手がないってわけじゃない?」
山藍さんが声を上げる。
「現有戦力で無理なら、戦力を補えばいい。実は、救援要請と増援要請を送っていたんだ。救援要請の方は即時却下されたけど、増援要請の方は、保留検討になっている」
「じゃあ、増援が来るの待つか?」
「増援は来るかどうかわからない。俺もはじめはすぐに増援が来ると思ってた。でも、まだ増援は来てな
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