道楽者/ただのみきや
 
一本のロウソクになった
見つめられると静脈色の模様がタトゥーみたいに浮いて来る
境目なんてないのに相手を意識してしまう自分
そんな孤独が闇へと滲む

灯されたロウソクは
青い霊魂を橙色のいのちの揺らめきに包み
部屋の中を空ろで内省的な惑星に変える
影たちは神話の外縁に立つ巨人だった

いのちの上澄みは虚空を炙り時間の腹を拷問する
たとえいのちが尽きるまで続けても口を割ることはないだろう

羽虫のように惹きつけられて瞳は
炎の中に海を見る
ひとつの まだ腐乱していない死体が白く漂っている
ほとんど色の抜けた唇が微かにひらく

どうしようもなく唇を重ねたくてカモメに
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