恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
るのはいいよ」
そう言って、はなまきさんは丸くなって、背中をなでさせてくれる。
「はなまきさん、とてもなで心地がいいよ」
「ボクのなで心地を侮ってもらっちゃ困るな」
「はなまきさんは、気持ちいい?」
「うん、とても心地いいよ」
「よかった」
「ねえ、はなまきさん。はなまきさんは、一ノ世君のこと、知ってる?」
「知ってるよ」
「そっか、そうなんだ」
「うん、よく知ってる」
はなまきさんは長い耳を動かして、微笑む。
「一ノ世君のこと知ってるんだね」
「うん」
目が覚めると、カーテンの隙間から光がこぼれている。
なぜだろう?
私も涙をこぼしている。
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