恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
 
いました。拝樹の奏、ずっと大切にします」
「ああ、そうしてくれな」
そう言って、主様は微笑む。
私が今まで生きてきて、見たこともない、やさしい笑顔。

気がつくと、周りははじめの花群(はなむら)。
「はなまきさん。はなまきさんは、これは、夢だって言ったよね」
「そうだね」
「じゃあ、もしかして起きたら忘れちゃう?」
「そうだね」
「はなまきさん、私、忘れたくないよ」
はなまきさんは、何も言わない。
「はなまきさん、ワガママ言って、ごめんね」
「いいよ」
「もう一つワガママ言ってもいい?」
「なに?」
「私、はなまきさんのこと、もふもふってしたい」
「なでるの
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