恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
 
ません。私には好きな人がいるんです」
「そうか、そうか、それはよかった」
風が流れる。
やわらかいやさしい風が私たちの間を流れていく。

「はなまき、送ってあげなさい」
「はい」
私はもっと居たいと思ってしまう。
「主様、もっとここにいては、いけませんか?」
「そうさせてあげたいがのお」
「ごめんね、シイラさん。これ以上は君のためにならないんだ」
「あっ、ワガママ言って、ごめんなさい」
「今日は来てくれて、ありがとうのお」
「主様、また会えますか?」
主様は何も答えず、ただ微笑む。
「シイラさん」
「ごめんなさい。私、もう戻るね」
「主様、本当にありがとうございま
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