恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
れ変わらせるのは、とても難しい。一度、姫取りの翁に犯されると、女は憎しみを愛と思うようになってしまう。憎しみを愛と思うようになると、愛を求めながら憎しみばかり得てしまう。そして憎しみこそが愛なんだと思うようになってしまう。その一度固定されてしまった認識を戻すのも、難しい。憎しみを愛だと思うようになった女は、憎しみばかりを受け入れて、愛を受け入れなくなる。それでも、心では愛を求めるから、いつまでも噛み合わない苦しみの中にいる。そうして、憎しみを産み、子に愛と誤認した憎しみを与える。愛という名のもとに憎しみを与えられた子は、憎しみこそ愛だと思うようになる。そうして、憎しみを継承させていく。世界に憎しみ
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