恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
 
しみが満ちていく。これを変えるのは難しい。自分が受けてきた愛が、自分が与えてきた愛が間違ったものだったと気づき、その事実を受け入れるのは、女性にとって難しいことだから」
「ごめんなさい。はなまきさん。私、はなまきさんの話がよくわからない」
「いいんだ、シイラさん。頭でわからなくても、心が憶えてるから」
「主様、拝樹の奏があれば、姫取りの翁から守られるということですか?」
「すまんなあ、それにはそこまでの働きはないんじゃ。それでも、姫取りの翁に気づくことはできる。その甘言を見分けることができるくらいにはなる。その暴力の気配に気づき、あらかじめ避けられるくらいはできるようになる」
「シイラさ
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