ぽっかりと空いた穴みたいな時間/ホロウ・シカエルボク
にを見ることも出来ない―妄想の邪魔にはならない、むしろやりやすい―草を掻き分けてベンチに辿り着き、腰を下ろす、もう少しすると虫が湧いてじっとしていることは難しくなる、夏場は少し田舎の海までスクーターで走り、テトラポッドに座る、遊泳禁止、立入禁止の端っこの唯一入ることが許された場所、そんな場所で人に会うことはまずない…それはともかく、展望台で意識を飛ばし、戻ってきた時には夜になっていた、帰れない、と初めてそうなった時には思った、いまではマグライトを持ってくるようにしている―夜の山、それも人気のない―となると、ヤバいものに出会うんじゃないかと思うやつも居るだろう、でも俺はそんなこと問題にはしない、だっ
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