子供の頃駄菓子屋で/こたきひろし
 
のある家は皆無だった。と思う。

先生の許可を得てから下校した。校舎は木造の古い建物。その敷地から出て道を歩き出すと解放されて嘘のように気分が晴れてきた。
舗装されていない県道をいつも通り途中で休んだり橋の上では欄干に寄りかかって恐々川を除き込んだりしながら家に着いた。

私はその日悪い籤を引いたのかも分からなかった。
後ろめたい気持ちもランドセルの中に積めながら昼下がりの時間に家にそっと入ると想像していなかった光景を見てしまった。

なぜか母親が両の乳房をさらけ出していた。
そこは囲炉裏の側だった。
父親がいた。母親の乳房を触っていた。

それは子供が見てはならないものだ
[次のページ]
戻る   Point(4)