子供の頃駄菓子屋で/こたきひろし
のだと私は束の間に悟った。
父親も母親も気分が昂っているのだろう。
我が子の帰宅に気付く気配はなかった。
私はけして気付かれないようにと息を殺した。
そして家からそっと出た。
ここにはいられないと思った。
何処へ行けばいいだろうと迷った。
仕方なく宛土なく家の周辺をさ迷うように歩いて回った。
私は悪い籤を引いてしまったとしか思えなかった。
男女のまぐわいを薄々想像してはいたけれど、自分もそのまぐわいの結果だと知ってはいたけれど、実の父母のそれは見たくはなかった。
さ迷うように歩きながら
私には少なかざる興奮と緊張感がみなぎっていたのは
否定できない。
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