子供の頃駄菓子屋で/こたきひろし
なかった。
それがしたくてそれが欲しくて母親の財布から小銭を黙って抜いたのだ。
引いた籤はほとんどが外れだった。
ある日小学校を早退して帰ってきた。気分が悪くなったからだ。家から学校までは四キロ近く離れていた。そこを毎日徒歩で通学していた。余程の悪天候でない限りバスに乗らせては貰えなかった。
第一、交通の便が悪くバスは一日に数本しか運航していなかった。だからたとえ朝一番のバスに乗ったとしても帰りは適当なバスがないから歩くのを余儀なくされた。
学校で体調に異変が起きてもそれは変わらなかった。たとえ親に連絡しても親にも交通の手段はなかったのだ。それに連絡したくても電話のあ
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