金のすもも/愛心
出したように麦畑に駆けると、琥珀色の蜜がなみなみと入った壺を抱えて戻ってきた。
この蜜は魔法の蜜。
一口舐めれば陽気になり、二口舐めれば悲しくなり、三口舐めれば踊りだし、全て舐めれば眠ってしまう。
これを人食い熊にやりなさい。
全て舐めさせてから、退治するんだよ。
礼を言い、壺を受け取った若者はすももの木の下まで駆けた。
根元に壺を置いてそのまま木に登り、枝の隙間に身を隠し日が沈むのを待っていた。
夜になり、月が辺りを照らしたかと思うと、大きな人食い熊の影が伸びてきた。
人食い熊はしばらく鼻をひくつかせながら、若者の匂いを辿る
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