金のすもも/愛心
おけば、その間は引き裂かれようが殴られようが痛みも傷もない。
ただし、夜明けには吐き出すんだよ。さもなければ、夜に受けた痛みや傷が戻ってきて死んでしまうから。
礼を言い、真珠を受け取った若者が、次に向かったのは麦畑だった。
狐、狐よ。僕の腕の中で眠り、傷を癒した狐よ。出てきておくれ。助けておくれ。
若者の歌声は、金の稲穂を揺らし麦畑全てをさざめかせた。軽やかな足音と共に、老狐が現れた。
どうしたの、若者よ。
明日の夜、人食い熊が現れる。退治する良い知恵が欲しい。
若者の言葉に、狐はしばらく考えていたが思い出し
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