金のすもも/愛心
 




若者は武器を持ち、娘に安全な所に居るように伝えると、森の奥の湖に駆けて行った。



魚 魚よ。僕の口の中で眠り、赤子を産んだ母魚よ。出てきておくれ。助けておくれ。



若者の歌声は湖の縁から水底へ、波紋の形を成して届いた。忙しない水音と共に母魚と小魚が現れた。



どうしたの、若者よ。



明日の夜、人食い熊が現れる。退治する良い知恵が欲しい。



若者の言葉に、魚はしばらく考えていたが思い出したように水底に潜り込むと、月のように白い大粒の真珠を咥えてきた。



この真珠は魔法の真珠。

月が出ている夜に口に含んでおけ
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