金のすもも/愛心
三つ目の願いは、満月の夜に現れる人食い熊を退治して欲しい。というものだった。
流石の若者も、この願いにはたじろいだ。娘は若者を倉庫に連れていくと、この中の物は何を使って貰っても構わない。と、戸を開いて見せた。
そこにあったのは大小様々なナイフに、銃に、弓矢。武器庫と呼んでも差し支えなかった。
若者は使ったことのある猟銃と、よく切れそうなナイフを二本、手に取った。
今まで沢山の若者が人食い熊と戦い、その度に返り討ちにされてしまっている。と、娘が悲しそうに呟くと、若者は娘に向き直り自信たっぷりに微笑んで見せた。
必ず倒して見せる、と。若者は娘のことが好きになっていた。
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