金のすもも/愛心
のか尋ねると、若者は二つ目の願いのあらましを伝え、頭を抱えた。
狐はにんまりと笑うと、取引を持ちかけた。
貴方の腕の中で一晩過ごさせてくれるなら、首飾りを見つけてきてあげる、と。
若者は少しだけ躊躇ったが、了承した。
日が落ちる頃、若者は膿んだ傷の臭いと、様々な体液を垂れ流す狐を抱き上げた。
狐はしばらく鼻を鳴らすと、満足したように大人しくなった。
若者は一晩中狐を撫で、麦を数えて夜を明かした。
明朝、腕から跳ね降り、伸びをする狐を見て若者は驚いた。
狐の傷が綺麗に塞がっていたからだ。
老狐は若者に礼を言うと、麦畑の方に走って行った。
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