金のすもも/愛心
元へ戻った。
娘は澄ました顔ですももの木の下に座っていたが、差し出された指輪を見た途端、驚いてあんぐりと口を開けた。しばらく訝しげに眺めていたが、探していた物だと納得したのか自身の薬指に嵌めた。
美しかった娘は、より美しく輝き、若者がそれを伝えると娘は満足げに微笑んだ。
二つ目の願いは麦畑で無くした金の鎖の首飾りを探してほしいとのことだった。
案内された麦畑の周りをぐるりと一周すると、太陽が一番高いところに昇ってしまっていた。
あまりの広さに肩を落とし、膝をつくと、目の前に傷だらけの老いた狐が現れた。
若者の様子を不思議に思った狐が何があったのか
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