某月某日 ー 詩ではなく、批評でもない、ただの言葉/石村
己に自由はない。それは常に関係性における自己を意識せざるを得ず、そこで交わされる言葉は常にそうした自意識を反映するものだ。「無私な言葉」が社会的自己から発せられることはなく、広義の政治的言葉のみが交わされる。
社会が個人の欲望と利害の相克、あるいはそれらの調和の場である以上、こうした広義の「政治」は誰にも避け得ぬ。勝つ負ける、支配し支配される関係性のどこかに我々は何らかの位置を占める。一方で個人は社会的関係性の秩序からひとり離れ、魂が神に対峙するように言葉の世界に対峙することもできる。
詩の言葉がこうした極めて個人的な営みから生まれながら、他者の自己に届くのはなぜか。
そ
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