術もなく/ただのみきや
天秤に乗せられて物差しを当てられて
名付けられ 新たな死を獲得する
ダンスを習うように寄り添いながら
わたしのパーツはバラバラと抜け落ちてゆく
あの丘まで伴走できなかったのだ
魂の展開図は鳩たちの目に認められることはなく
拾って歩く自分はもう失っていた
ネジ山の合わないネジをギリギリ捻じ込まれ
わたしの空が壊れてゆく
穏やかに世界は流転する
虹色の夢を映した泡をひとつはじけさせて
巨大な紳士淑女たちが流す涙は火の粉となって
灰となって降り注ぎ餓えた耳目を塞いだ
二人は人のいない風景を愛していた
わたしが胸から取り出した亀を
あなたはウサギに変えてしまい
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