凡庸とパンク/ブッポウソウ
 
させる脚に錆鼠色の細身の労務パンツを穿き頭髪の外側は顎あたりの長さにそろえ内側は剃ったように短いというパンキッシュな風体だった。
凡庸は次の言葉を発そうとしているようだったが、半ば開いた口唇がかすかに震えるだけで発語はできずにいた。パンキッシュの方は凡庸の方を茫と見たまま困惑というほどではない戸惑いを見せてはいたが、それでも凡庸の次の言葉を待っているようだった。ややあって凡庸が口を開いた。というかずっと開きっぱなしだった口から発語した。今度もやや大き過ぎる声で。

「私、あなたのことがすきなんです」

まあ、あんまり知らないんですけど、あなたのこと、とやや小さめの声で凡庸はつけ加え
[次のページ]
戻る   Point(2)