空回り/トビラ
食べ終えて花村さんは、静かに言う。
「結城君ってさ、私といると、なにかいつも緊張してるよね。それで、楽しいのかな?って。なんでわたしと付きあってるんだろう?ってたまに思うんだ」
花村さんは僕を真っすぐに見つめる。
え?
なんで?
「なんで?って、花村さんのことが好きだから」
──。
「結城君は、ズルいね」
花村さんはなにかむくれる。
「え? 怒ってる?」
「少し」
しまった、また、なにか間違ってしまった。
愛してるからとか素直に言った方がよかったのかな?
でも、それだと重すぎないか?
「ウソ」
「ウソ?」
「うん、ウソ。怒ってないよ」
そう言って花村さんは微笑む
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